ゴミ屋敷化は、単なる生活習慣の乱れや性格の問題として片付けられるものではなく、うつ病、認知症、ADHD(注意欠陥・多動性障害)といった特定の病気や障害が背景にある可能性が指摘されています。これらの病気や障害は、人の心理状態や行動に影響を与え、結果として自己管理能力や片付け能力を著しく低下させることがあります。まず、うつ病は、持続的な気分の落ち込み、興味・関心の喪失、強い疲労感、集中力や判断力の低下などを特徴とする精神疾患です。うつ病になると、物事を行うためのエネルギーや意欲が著しく低下します。部屋を片付けたり、掃除をしたりといった日常的な活動を行うことが非常に困難に感じられるようになり、身だしなみを整えることすらおっくうになる「セルフネグレクト」の状態に陥ることもあります。これにより、部屋が急速にゴミ屋敷化していくことがあります。次に、認知症は、記憶力や判断力、実行機能などが徐々に低下していく進行性の病気です。認知症が進むと、物の置き場所を覚えられなくなったり、何が必要で何が不要かの判断ができなくなったりします。ゴミの分別方法や収集日を理解したり、片付けの順序を考えたりといった計画的な行動が難しくなるため、物が溜まりやすくなります。以前は綺麗好きだった人が、認知症の発症とともに物の溜め込みが始まるというケースも見られます。ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、発達障害の一つで、不注意、多動性、衝動性を特徴とします。ADHDの特性を持つ人は、集中を持続させるのが苦手で、気が散りやすい傾向があります。片付けを始めても他のことに気を取られてしまったり、作業を最後までやり遂げることが難しかったりします。また、物事の計画を立てたり、段取りを組んだりすることが苦手な実行機能の課題を抱えていることもあります。そのため、物の整理整頓や分類が苦手で、無秩序に物が溜まってしまうことがあります。衝動的に物を購入してしまう傾向も、物の増加につながりやすい要因です。
ゴミ屋敷に潜む病気とは?心理状態との関連